新社会人A君は就職早々、ホームレスになった。
「入った会社では交通費がでないんです。しかも離島にある。就職する時、荷物を整理してボストンバッグひとつで会社にやってきました」
朝8時から夜の8時までオフィスで働き、帰る家もないので、会社の周辺で野宿する。
「会社の周辺にあまりにもホームレスが多いので、キリスト教の教会が炊き出しにくるんです」
月給は手取りで20万円ほど。ひとり暮らしには十分な額だが、会社のまわりには商店もなくお金を使う場所がない。
「食べ物はコンビニで廃棄する弁当をもらっています。そのコンビニは米軍専用のコンビニなので日本円が使えないのです」
A君は真っ黒に日焼けし、見た目は浮浪者そのものだ。においもきつい。
「僕はホームレスですが、れっきとした会社員です」
離島には米軍施設しかなく、A君はゴミ収集場をあさって食べ物を見つける毎日だ。
今、A君のように会社員をしながらホームレスをするホームレス会社員が増えてきているという。ホームレス事情に詳しい亜田里目正三氏は、背景に交通費の不支給があるという。
「最近、交通費を支給しない企業が多くなってきました。皆、交通費を節約するため、会社の周辺でホームレスとなって働いています」
日本独自の制度とも言われる交通費支給。今後はこの制度もなくなり、ホームレスだらけの日本となりそうだ。